ZEHについて

日本では、エネルギー基本計画※において、「2030年度以降新築される住宅について、ZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」とともに、「2030年において新築戸建て住宅6割太陽光発電設備が設置されることを目指す」とする政策目標を設定しております。

また、地球温暖化対策計画※においても同様に政策目標を設定しており2050年カーボンニュートラル実現に向けて、経済産業省・国土交通省・環境省が連携し住宅の省エネ・省CO₂化に取り組んでおります。

そのため、2025年からは断熱等性能等級4以下(UA値0.87 @6地域)のお家は建てられません。新築には等級5(ZEH基準相当|UA値0.60 @6地域)以上が必要です。

※エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画ともに令和3年10月閣議決定

さて、省エネという言葉と並んで見かけるこの「ZEH」とは一体何でしょうか?

今回はこのZEHについて詳しくお話ししていきたいと思います。

目次

  1. 1. ZEHとは
  2. 2. ZEH基準 
    1. ① 強化外皮基準
    2. ② 基準一次エネルギー消費量の削減
    3. ③ 再生可能エネルギー導入
    4. ④ 基準一次エネルギー消費量から100%削減
  3. 3. その他のZEHの種類
    1. 3-1. Nearly ZEH(ニアリー・ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)
    2. 3-2. ZEH Oriented(ゼロ・エネルギー・ハウス指向型住宅)
    3. 3-3. ZEH+ / Nearly ZEH+
  4. 4. ZEHへの支援策
    1. 4-1. 戸建住宅ZEH化等支援事業
    2. 4-2. 子育てエコホーム支援事業
    3. 4-3. 借入限度額の上乗せ
    4. 4-4. ローン金利の引き下げ
  5. 5. まとめ

1. ZEHとは

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ZEH(ゼッチ)とは、

net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)

の頭文字からとった省エネ住宅の呼称です。

詳しくは、外皮の断熱性能等を大幅に向上させ(断熱等性能等級5に相当)、高効率な設備やシステムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネ(一次エネルギー消費量等級6に相当)を実現(省エネ基準比20%以上)した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、 年間の一次エネルギーの収支をゼロとすることを目指した住宅です。

※外皮|室内と室外の境界面にある屋根、外壁、床、天井、窓、ドアなどの部分。
※一次エネルギー|石油や天然ガスなど自然界にある物質を変換することで得られるエネルギー。灯油ストーブなどが一次エネルギーに該当。

2. ZEH基準

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それでは、ZEHとはどのような省エネ住宅なのか要件を見ていきましょう。

ZEHとは、 外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備え、再生可能エネルギー等により年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの住宅 

① ZEH強化外皮基準(地域区分1~8地域の平成28年省エネルギー基準(ηAC値、気密・防露性能の確保等の留意事項)を満たした上で、
UA値[W/m2K] 1・2地域:0.40 以下、3地域:0.50 以下、4~7地域(※京都は6地域):0.60以下)

② 再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量削減

③ 再生可能エネルギーを導入(容量不問)

④ 再生可能エネルギー等を加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量削減 

上記①~④のすべてに適合した住宅

少し難しい表現が多いので、それぞれ詳しく解説していきます。

① ZEH強化外皮基準

強化外皮基準は建物の壁、断熱材などを含めた外皮の断熱性能を判断する基準です。

日本全国を8地域に分けてそれぞれにZEH基準のUA値(1・2地域:0.40 以下、3地域:0.50 以下、4~7地域(※京都は6地域):0.60以下)が定められています。また、寒冷地であれば、より高い断熱性能を求められるので基準が厳しくなります。

地域ごとの基準については国土交通省の地域区分新旧表で確認できます。

② 基準一次エネルギー消費量の削減

一次エネルギーとは天然ガスや石油・灯油など自然界にある物質を使い、直接熱エネルギーなどへ変換することができるエネルギーです。例えば、ガスコンロや灯油ストーブなどが一次エネルギーに当たります。

またそれらに対して、電気などはそれ自体を発生させるために燃料や機材が必要になるため、二次エネルギーとされています。

ZEH基準をクリアするためには、断熱性能を上げ、冷暖房や給湯設備などのエネルギー効率を高めることなどで一次エネルギーのを削減し、基準よりも20%以上の削減が必要です。

③ 再生可能エネルギー導入

再生可能エネルギー(Renewable Energy)とは、太陽光や地熱、風力、水力など、自然界に常に存在するものをエネルギー源として利用したものを指します。一度利用しても比較的短期間に再生が可能で、枯渇する心配がなく半永久的に利用可能です。また、発電時に地球温暖化の原因となるCO2を排出しないため、環境にやさしいエネルギー源です。

ZEHの基準を満たすためには太陽光パネルといった再生可能エネルギーを利用するためののシステムを導入する必要があります。

④ 基準一次エネルギー消費量から100%削減

③の取り組みによってエネルギーを創り出し、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量を削減することで、ZEH基準を満たすことができます。

そして、これら①〜④の基準を全てクリアした住宅がZEHとして認められます。

3. その他のZEHの種類

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現在戸建住宅に対するZEHの種類は先にご説明したZEH以外に

 

Nearly ZEH / ZEH Oriented / ZEH+ / Nearly ZEH+

 

の4種類あります。それぞれ詳しく見ていきましょう

3-1. Nearly ZEH(ニアリー・ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス) 

Nearly ZEHとは、ZEHを見据えた先進住宅として、外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備え、再生可能エネルギー等により年間の一次エネルギー消費量をゼロに近づけた住宅

① ZEH強化外皮基準(地域区分1~8地域の平成28年省エネルギー基準
(ηAC値、気密・防露性能の確保等の留意事項)を満たした上で、
UA値[W/m2K] 1・2地域:0.40 以下、3地域:0.50 以下、4~7地域(※京都は6地域):0.60以下)

② 再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量削減 

③ 再生可能エネルギーを導入(容量不問)

④ 再生可能エネルギー等を加えて、基準一次エネルギー消費量から75%以上100%未満の一次エネルギー消費量削減 

上記①~④のすべてに適合した住宅

 

先に説明しましたZEHとの違いは、①〜③までは同じ要件ですが④の削減量が違います。再生可能エネルギーを使って基準一次エネルギー消費量の75%~100%未満がまかなえればNearly ZEHとして認められます。

このNearly ZEHは、太陽光パネルでの発電があまり見込めない寒冷地、低日射地域、多雪地帯で活用されることが多いです。

3-2. ZEH Oriented (ゼロ・エネルギー・ハウス指向型住宅)

ZEH Orientedは、ZEHを指向した先進的な住宅として、外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備えた住宅(都市部狭小地※1及び多雪地域※2に建築された住宅に限る) 

① ZEH強化外皮基準(地域区分1~8地域の平成28年省エネルギー基準
(ηAC値、気密・防露性能の確保等の留意事項)を満たした上で、
UA値[W/m2K] 1・2地域:0.40 以下、3地域:0.50 以下、4~7地域(※京都は6地域):0.60以下)
② 再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量削減

※1 都市部狭小地等(北側斜線制限の対象となる用途地域等(第一種及び第二種低層住居専用地域、第一種及び第二種中高層住居専用地域並びに地方自治体の条例において北側斜線規制が定められている地域)であって、敷地面積が85㎡未満である土地。ただし、住宅が平屋建ての場合は除く。) 
※2 多雪地域(建築基準法で規定する垂直積雪量が100cm以上に該当する地域) 

 

こちらは先にお話しした2つのタイプと違い再エネの導入項目が無く、それに伴い再エネを利用した一次エネルギー消費量削除項目がありません。

屋根にソーラーパネルを乗せられる面積が十分に取れない、あるいはビルなどの遮蔽物が多く日光が遮られる都市部の狭い敷地や、降雪・積雪によりソーラーパネルからの発電が十分に行えない地域で認められるZEHになります。


【補足】基準一次エネルギー消費量、設計一次エネルギー消費量の対象は暖冷房、換気、給湯、照明とする。また、計算方法は、平成28年省エネルギー基準で定められている計算方法に従うものとする。なお、法改正等に伴い計算方法の見直しが行われた場合には、最新の省エネルギー基準に準拠した計算方法に従うこととする。 また、再生可能エネルギー等によるエネルギー供給量の対象は敷地内(オンサイト)に限定し、自家消費分に加え、売電分も対象に含める。ただし、エネルギー自立の観点から、再生可能エネルギーは全量買取ではなく、余剰電力の買取とすべきである。また、再生可能エネルギーを貯めて発電時間以外にも使えるよう、蓄電池の活用が望まれる。

3-3. ZEH+ / Nearly ZEH+

続いてZEH、Nearly ZEHの上位モデルであるZEH+、Nearly ZEH+についてご説明します。

【 基本要件 】
ZEHまたはNearly ZEHの定義を満たしていること


【 追加要件 】
Ⅰ.更なる省エネルギーの実現(例 再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から25%以上の一次エネルギー消費量削減)
 
Ⅱ.売電のみを前提とせず、自家消費を意識した再生可能エネルギーの促進に係る措置 (例 次の①〜③のうち2要素以上を採用)
 ① 外皮性能の更なる強化
UA値[W/m2K]が次の値相当以下であり、暖冷房負荷の一層の低減等が可能であること。1・2地域:0.30、3・4地域:0.40、5~7地域:0.50 

② 高度エネルギーマネジメント
HEMS(Home Energy Management System)により、太陽光発電設備等の発電量等を把握したうえで、住宅内の暖冷房設備、給湯設備、省エネ設備等を制御可能であること。 すなわち、HEMS、暖冷房設備及び給湯設備等(蓄電池やコージェネレーション設備(燃料電池に限る)を設置する場合には、これらの設備を含む)について、いずれもECHONET Lite AIF 仕様 に適合し、認証を取得している機器を設置(アダプタが分離されている場合は当該アダプタを含む)すること。 なお、これにより、将来的に蓄電池等と連携することで、ディマンドリスポンス(Demand Response) やバーチャルパワープラント(Virtual Power Plant) に参加可能となる。

 ※設置される機器については、ECHONET Lite AIF認証の取得を基本とするが、当分の間(最長2か年程度)は、機器種別の市場における普及動向を踏まえてECHONET Lite認証及び相互接続性の自己確認での対応を含めて判断するものとする。

③ 電気自動車等を活用した自家消費の拡大措置
​​​​​​​太陽光発電設備等により発電した電力を電気自動車(プラグインハイブリッド車を含む)に充電することを可能とする設備又は電気自動車と住宅間で電力を充放電することを可能とする設備を設置し、車庫等において使用を可能としていること(分電盤において所要の容量を確保し、及び漏電ブレーカーの設置等の所要の措置を講じることを含む)。

 

この追加要件を簡単に説明しますと、大前提としてZEHまたはNearly ZEHの要件を満たした上で、基準一次エネルギー消費量において25%以上の一次エネルギー消費量削減しなければなりません。

また、①ZEH強化外皮基準より更にUA値を0.1W/m2K下げた外皮性能にする。②HEMS(高度エネルギーマネジメント)を導入し創エネと省エネを高いレベルで行う。③車庫などに電気自動車への充電設備を設けて、太陽光発電からの電力や電気自動車に蓄えている電気などを住宅と電気自動車の間で充放電が可能な環境を作る。の3項目中2項目をクリアしなければZEH+、Nearly ZEH+として認められません。

4. ZEHへの支援策

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ここからは、ZEHに対する支援策をいくつかご紹介します。ZEH環境を整えるためには、高い断熱性能を持つお家の他に太陽光パネルや蓄電池、更にZEH+になればHEMSや電気自動車用の充放電設備など色々とコストがかかります。ですので、今後ZEHを建てたいとお考えであれば補助金などを積極的に活用して、お得に良い環境づくりを計画してみてください。

4-1. 戸建住宅ZEH化等支援事業

戸建住宅ZEH化等支援事業は経済産業省と環境省が行う、戸建住宅のZEH、ZEH+化、高断熱化による省エネ・省CO2化を支援するための補助です。

ZEH・Nearly ZEH※1・ZEH Oriente※2は1戸あたり55万円+α
ZEH+・Nearly ZEH+※1は1戸あたり100万円+α

が補助されます。

※1 寒冷地、低日射地域、多雪地域に限る
※2 都市部狭小地等の二階建以上及び多雪地域に限る
※3 本支援事業の一般公募は、単年度事業|2024年4月26日(金)10:00 ~ 2025年1月7日(火)17:00締切、複数年度事業|2024年11月5日(火)10:00 ~ 2025年1月7日(火)17:00締切となります。また、それぞれ予算上限に達し次第終了となります。

基本的にカテゴリーごとのZEHの定義を満たしている新築物件であれば補助対象となりますが、SIIに登録されているZEHビルダー/プランナーが建築、設計又は販売する住宅である必要があります。

もちろんタカハシはSIIに登録済のZEHビルダーですので本補助金への申請が可能です。また、+αの部分にあたる追加補助額に関しては、下の図をご参照ください。

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4-2. 子育てエコホーム支援事業

「住宅省エネ2024キャンペーン」における子育てエコホーム支援事業です。

詳細は特設ページをご覧いただければと思いますが、この支援事業で 子育て世帯 または 若者夫婦世帯 がZEH、Nearly ZEH、ZEH Orientedを取得した場合 1戸に付き最大で80万円の補助 が受けられます。

こちらは2024年4月2日~申請開始となっており、予算上限に達するまで申請可能です。ただ、遅くとも2024年12月31日までの申請が必要です。

4-3. 借入限度額の上乗せ

令和6年度税制改正において住宅ローン減税の制度内容が変更され、子育て世帯・若者夫婦世帯が令和6年に入居する場合には、令和4・5年入居の場合の水準の借入限度額(ZEH水準省エネ住宅は4,500万円)を維持。

4-4. ローン金利の引き下げ

フラット35におけるZEH等を対象とした住宅ローン金利の引き下げが受けられます。最大で当初5年間の金利がマイナス0.75%になります。

試算例として、借入額3,000万円(融資率9割以下)、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なし、借入金利年1.80%の場合、通常のフラット35より総返済額が約120万円お得になります。

5. まとめ

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いかがでしたでしょうか?

なんとなく名前は聞いた事があったけど、詳しくは知らなかったという方もZEHとはどういうお家かをわかっていただけたのではないでしょうか。

ただ、ここまでの流れだと家はZEHで決まり!と思えるかもしれませんが、普段からこの基準をはるかに超える家づくりをしているタカハシではZEH基準では本当に快適な家とは言えないと考えております。ZEHはあくまでこれからのスタンダード、つまり標準の家なのです。タカハシではZEHのもっと上の快適を備えたお家づくりをしていることも知っておいてください。

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【企業理念】

見まもるくらしの提案と想像

釘一本の修繕から、新築・改装などの大きな工事まで、工務店だからこそ出来る
『顔の見える』お仕事を目指し、日々研鑽を積んでおります。

 

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